講習会・勉強会レポート

2008.03.14 現職者講習会に参加して

 西島病院 理学療法士 勝又聡子さん

 今回、認知神経リハビリテーションと認知運動療法の講習会に参加して、様々な衝撃を受けました。患者さんを理解するために何が必要なのか、治療を展開していく中で、何を考えていったら良いのか、様々なことを勉強することができました。
 まず病態解釈として、外部観察と内部観察を行い、視覚的に観察できるもの以外に観なければいけないことの重要さを考えさせられました。なぜこのような症状が観られるのか、患者さんの中で何が起こっているのかを考えなければいけないと、改めて感じました。また講義の中で、自分の身体について気付いたときの患者さんの声を聞いたとき、胸に響くものがありました。患者さんと共感し、意識経験を共有し、相思相愛になり、患者さんと共に創発していかなければ、と強く感じました。
 現在、急性期のリハビリに携わっていますが、起こしていくこと以外にまず何をすべきか、感覚障害の強い患者さんに対して、自分の身体を分かってもらうにはどうしたら良いのかなど、日々、頭を悩ませていました。今回の講習会を受けている中で、多くの患者さんの顔が浮かび、明日からの課題やヒントが多く見つかったような気がします。実際その課題に向かっていく中でも、大きな壁があると思いますが、まずは、自分なりに患者さんの内部で何が起こっているのか、患者さんと共に探していけたらと思います。

2008.2.15 〜第5回勉強会に参加して〜

 

        リハビリテーション中伊豆温泉病院     高橋 美幸 さん

認知運動療法に対して、難しい言葉や脳科学への苦手意識からなんとなく近寄りがたい イメージをもっていましたが、ベーシックコースに参加して早一年が経過しようとして います。当院にはETCに情熱を持って患者様と向き合っている先生が多く、その色々 な話が聞けたり、また度々勉強会に参加することで改めて認知過程の 重要性を感じる一年間でした。
今回の勉強会は2月に行われるベーシックコースに向けた内容でした。
勉強会の中では活発な意見交換が行われ、それぞれの先生が普段の臨床の中でどのように考えながらETCを進めているのかを聞くことができ、とても貴重な時間となりま した。また実技中心の内容であったため、なかなか踏み出せずにいた私にとって臨床の中にETCを取り入れていくきっかけ作りになったと思います。 勉強会の翌日から今更ながら患者様の触り方、四肢の持ち方、触れるタイミングなどに 気を配るようになりました。しかし、普段は当たり前のように行ってきたことが、意識 することで逆に自分にも力が入ってしまい、患者様へかける言葉にも配慮しなければい けないことを感じました。

2008.2.15 2007認知運動療法 アドバンスコース(東京)回顧録

富士リハビリテーション専門学校 理学療法学科

                               鈴木 里砂

 今回のアドバンスコースは内容濃く、刺激の多い3日間の講習会でありました。全てに触れることは困難ですので、特に印象に残った部分を簡単にご紹介させていただきます。
開会後、河本先生のご講義を最初に頂きました。ここでは、行為の特質や、行為の形成といったことを中心にお話が展開されていきましたが、聴講者に理解しやすいように、比較的易しい言葉で語りかけられていたと感じました。この中で、認知運動療法のセオリーそのものが自己展開していくということを前提としたものである、といった先生ご自身の経験に基づいたご説明がありました。認知運動療法についての理解の不十分さに気づき、その上でさらに立ち戻り再度理解を深めていく、というような、臨床を実践していく中で間違いを犯し、そして気づき、また再出発をしていくといった過程は、セラピストがみな辿っている道ではないでしょうか。まさに私も現在、週一回の研修日で実感していることであります。
その後の 認知の樹“ホモエクササイズ”。今回のアドバンスコースにてもっとも印象に残ったシーンの一つです。“認知の樹“は、実は私にとって初めての経験となりました。私が以前参加していた時期は、まだ認知の樹が行われていなかったからです。
今回実施された“認知の樹”は、今回のアドバンスコースの中で際立ってとても良く構成されていたと感じました。河本先生の話・・ホモエクササイズ・・・、そしてパンテ先生の講義・・・これらの一連の流れの中で、参加者が理解しやすいように手助けしてくれているエッセンスの役割を成していたように感じました。
「ヒトは期待と絶望をすることができる。」「人間は自分の能力を過大評価、過小評価する傾向がある。」そして、「語ること=自分を知ること。」これらの言葉は、患者と向き合い、患者のことを知ろうとする自分、そして自分のことを知ろうとする自分に向けられたメッセージでした。

今回のアドバンスコースのメインテーマは”痛み-皮膚の下の結び目“でした。
痛みをどのように捉えるのか、そもそも“痛み”とは何であるのか?痛みというものは、非常にprivateなもので、患者の痛みを理解するということは非常に困難な作業となるでしょう。そこで、痛みを科学的に捉えていくという視点と、患者の経験(痛み)の複雑性を理解するという視点が必要となります。従来の疼痛検査で、私達は何を情報として得ていたのでしょうか?これらを得、どう臨床で活かすことができていたのでしょうか?残念ながら、患者の痛みが中枢神経系にどのような情報を送っているのか、身体にどのような影響を及ぼしているのかということを知る手掛かりにすらなっていなかったように思います。
アドバンスコースに参加し、聴講しただけでは臨床での評価・治療展開をすぐ出来る様にはならないでしょう。コースに参加し、どのように自分自身で考え、そして実践していき試行錯誤出来るか・・・。あなたはそれを本当にやっていけるのですか・・?とパンテ先生、宮本先生、そしてスタッフの方々から問い掛けを頂いたというように感じた東京での3日間でした。

2007.10.17

〜第4回勉強会に参加して〜

中伊豆温泉病院 

理学療法士  鈴木 淳也さん

リハビリテーション・ルネッサンスの最初の1ページをめくり始めてから、約1年の月日が経過しようとしています。その間にベーシックコースを受講し、学会にも参加させて頂きました。そして現在、認知運動療法を試行錯誤しながら行い、毎日が終焉していきます。そんな日々の中で常々感じる事は自分が本当に患者様の病態解釈が行え、認知過程を活性化させた治療が行なえているかという不安でした。しかし、幸いにもそんな不安を払拭してくれるかのように4月に行なわれたアカデミアでプロフィールの記述方法についての具体例が提示されました。そして、そのプロフィールにまたしても四苦八苦している現在の状況の中で、またまた幸いにも今回行なわれた静岡の研究会にてプロフィールの記述方法の講義、患者様を提示しての(ビデオにて)グループワークによる実際の記入を行なえた事は自分にとってかけがえのない意識経験となりました。そして、毎日、患者様と孤独な対決をしている僕に会員の皆様から様々な武器を分け与えてもらった事はいうまでもありません。今回行なわれた研究会が、自己破産寸前の僕に「患者様の心の扉を叩いていこう」という意欲を再び呼び起こさせる良い契機となりました。このような気持ちにさせて頂いた会員の皆様、有難うございました。また、明日から患者様との、自分自身との対決が始まりますが、精一杯頑張りたいと思います!

                                               

2007.9.06

〜第8回日本認知運動療法研究会学術集会に参加して〜

北斗わかば病院

リハビリテーション科

理学療法士 徳永 陽子 さん

 去る7月14日・15日に名古屋市公会堂で開催された学術集会で,初めての演題発表を行ってきました.

 認知運動療法に魅せられて3年,これまでに県の現職者講習会や研究会の勉強会,アドバンスコースに参加し,試行錯誤しながら臨床で認知運動療法を実践してきました.その中で,認知運動療法を知る前の私の臨床では感じ得なかった患者さんの変化を感じるようになりました.

 私の勤務する病院では神経難病の方が多いのですが,初めて多発性硬化症の方を担当する機会がありました.その方は,右頭頂葉・左後頭葉病変により,左片麻痺,失行,失認を呈し,自己身体の理解が困難で身体を思うように動かすことができず,衣服の表裏・左右の理解も困難でADLはほぼ全介助という状態でした.この方に対し認知運動療法を実施し,結果的にセルフケア・トランスファー・車椅子駆動自立,平行棒内歩行監視となりADL向上を図ることができました.

 このような結果に至ったのは,選択した課題が適していたからであると考えていました.しかし,訓練課題の検証を進めていくと,要求が複雑だったり,肢位が不適切だったなど,設定の不十分さを感じました.これは,病態や訓練課題の解釈が不十分であり,課題の難易度調整が粗雑であったと言え,より適した内容で課題が提示されれば,よりよい結果が得られたかもしれないと考えました.

 このような検証をすることで,訓練課題の是非を評価でき,さらに検証を重ねることで今後の訓練課題導入の参考になる知識を得ることができ,自分自身のスキル向上にもつながると感じました.このように,結果に満足せず訓練課題を検証していくことは,患者の病態解釈のみならず,セラピスト自身のエラーに気づくことができる重要な工程であると言えるのではないかと考え,この経験を発表することになりました.

 発表における抄録やポスターの作成では,想像以上に苦労しました.限られた文字数で如何に自分の伝えたいことをまとめるか,全体の構成や文章の表現方法について他の先生に指摘を受け,何度も修正したことを思い出します.またポスターにおいては,如何に見やすく視覚的に訴えられるか,レイアウトや配色について悩みました.

ついに発表の日を迎え,当日は他の先生方から多くの質問やご指摘をいただきました.失行症の患者様を担当している先生から,「どのように訓練を進めていけばいいか悩んでいる」と相談を受け,訓練課題の具体的な方法について質問されました.解説をしていく中で,私自身も課題について難渋することが多かったことをお話し,先生との会話の中で相互に共感する部分があり,心強く感じました.また他の先生から,訓練からADL向上への凡化の関係についてご指摘をいただきました.これにより,私の行った訓練課題は、自己身体や物体の認識の向上を目標としたものが多く,自己と物体・環境との相互関係の認識の向上を図る内容の訓練が乏しいことを発見することができ,訓練課題の設定にはより慎重な姿勢が必要であると理解し,大変有意義なものとなりました.また,他の演題発表や諸先生方の講演にも刺激を受け,自身の課題が有効であったと感じる部分や,未熟さを感じる部分も多く発見し,現在新たな気持ちで臨床に望んでいます.

 最後に,発表にあたりお忙しい中,抄録・ポスター作成の指導をしてくださった先生方,予演会を開催しご指導してくださった静岡県認知運動療法研究会の先生方に深く感謝いたします.

2007.8.27
第8回日本認知運動療法研究会学術集会の感想

ヴェリタスヘルスサイエンスクリニック

理学療法士 松下太一 さん


 7月14日、15日に開催された第8回日本認知運動療法学術集会に参加しました。学術集会は荻野大会長の熱い基調講演から始まりました。講演の中に諸処のリハビリテーション世界への問題提起がありました。プラトー・回復の限界・算定上限日・リハビリ難民といった言葉が私の胸の内を強く打ち、今、自分が行っているリハビリテーションの厳しい現実を改めて感じました。これらの言葉が今後どのように改変していくか,リハビリテーションに関わる者としてその効果を証明していかなければならず、その責任の重大さを強く認識しました。

 特別講演Jは、小河原誠先生による「ポパーの科学論‐反証主義を考える‐」でした。内容が難しい部分もありましたが、2007年の3月に参加した静岡認知運動療法研究会の勉強会の中で東洋大学の河本先生による「反証」についてご講演をいただいたばかりだったので、今回はより理解を深めることが出来ました。河本先生の勉強会の中でポパーの方法論の拡張についてのお話があり、自分は漠然と認知問題‐知覚仮説‐解答のエクササイズに利用出来ると思っていました。小河原誠先生の講演の中では、「仮説を反証していく過程の中で、より厳しい反証テストを耐え抜いた仮説はより信頼性が高いと判定されている」ということや「現在の知識をそのまま取り入れるのではなく、知識は反証されうるものとして、探求しなければならない」といった考えから、科学性という1つの考えを理解でき、セラピストの治療場面においても認知神経リハビリテーションのように仮説を立て,検証していく過程の重要性を感じました。

特別講演Kでは、内藤栄一先生による「ヒトの身体像の脳内再現と身体運動制御」を聞きました。最新の脳科学の面から、運動や知覚についてのお話です。一次運動野を中心とし、感覚処理過程と運動制御過程が密接に関わりあっており、身体像の形成に関与していると述べられていました。また、「運動に先立って脳内でイメージすることで,その後の運動が円滑に行われる」ということも述べられていました。この事については、臨床上脳梗塞の患者様の治療場面で、身体像が形成された後に動作を行うと随意的な運動が行えたり、脳内のイメージを利用することにより運動が円滑に行えるようになったりすることを実感しています。最新の脳科学の中で述べられている事例と,実際の臨床場面での現象が一致し、今、自分が行っていることが根拠のある治療であると感じられ、正直うれしく思いました。また、新たに手と物体が一体化すること(道具の身体化)では左半球下頭頂葉の関与をしているという話もありました。脳の働きをわかりやすく説明して頂けたので、実際の臨床と基礎科学がつながった講演でもあり、今後の臨床への大きな参考となりました。

その他にも、教育講演では「手続き」や「仮説」についてのお話を聞くことが出来、シンポジウムでは「認知」についてあらゆる方向から話がありました。現在の認知運動療法は,以前参加したベーシックコースや認知神経リハビリテーションの文献を基にしてその方向性は一致しているのではないかと感じることは出来たのですが、その反面、以前よりももっと先を進んでいるし、非常に奥深いもので今の私の学習態度ではまだまだ不足している事を実感しました。この学術集会を通じ、今後のリハビリテーションに対しての効果を検証しなければならないし、哲学や脳科学などのいろいろな方面からの知見を私自身の理学療法に応用していきたいと改めて感じることが出来ました。

2007. 7.14
〜第3回勉強会に参加して〜

NTT東日本伊豆病院   斉藤雄介さん

 今回の勉強会では、マスターコースの伝達講習と学術集会のポスター演題の予演会 が行われました。 

 

マスターコースの伝達講習では、痛みと認知神経学という内容についての話がされま した。講義はマスターコースの内容をほぼそのまま持ち込んだものとなっており、できる限りイタリアの空気を感じさせようとする講義担当の方の意図が垣間見え、それが嬉 しく感じられました。痛みという大きなテーマの内容でしたが、プリ ント・スライドには具体的に細部まで記述されていて、分類もきちんとされており分か りやすい内容でした。しかしながら、普段勉強を怠りがちな新米PTの私には、内容を追うだけで精一杯でしたが・・・。そんな私が印象に残った部分は、認知を勉強していない方は特に陥りがちだと思うのですが、「痛みがあるがゆえに身体を知覚できないのではなく、身体を”正しく知覚できない”ゆえに痛みが生ずる」という内 容です。この根本の概念を念頭に入れて、痛みというものを捉えなければ、本質は見抜 けないのではないかと感じました。
  予演会では、「訓練課題の検証」という内容だったのですが、たくさんの先輩PTが いる中で意見・指導・提案が飛び交い、私自身も様々な視点が参考になったり、訓練課題についての検証作業がいかに大切か実感する事ができました。


 今回の勉強会を機に、久々に勉強のやる気を起こさせるきっかけになったことが非常に良かったと思います。日頃の甘さにムチをうって、本を読む機会を増やすよう励み たいと思う今日この頃です。